本書の特長

この本は、いまから百年ほどむかし、我が国が近代国家に変革する中で誕生した明治から大正時代にかけてのおもちゃの特許発明をひもどき、その中から現代にも通じるおもしろい題材を選び、そこに盛り込まれた工夫の数々を皆様にご紹介いたします。
ご紹介するおもちゃを明治から大正の特許発明に絞った理由の一つは、この時代はプラスチックがなく、電池もモーターも使えません。全部、バラバラに分解でき、動きを解き明かすことができます。しかも、ありがたいことに明治・大正の特許明細書は先人に努力のおかげで記録文書として保管されています。発明の図面を読み解けば、細かな動きや歯車の連動まで、カラクリを読むことができるのです。
図を読み解くのはパズルを読み解くようなおもしろさがあり、発明に潜んでいる素晴らしい知恵を学ぶこともできると考えます。

≪編集にあたって≫
本書では24件の発明をとりあげました。全体は5編に分けてあります。人形を題材にした発明、機構のカラクリを楽しむ発明、水や風、音や光を使う発明、そして、自動車や船の発明です。
100年前の発明から学ぶうえで、おもしろ基準で分けると読みやすくなると考えた工夫です。

本シリーズ「おもしろ発明史」のねらい

本書は、なんだこれは、という予想外のたのしさを探した本です。
たのしさの中でも、合理性にとらわれない、奇想天外な、考えてみることのたのしさです。
あれこれ考えずに、アハハとわらえるようなたのしさを探しました。
いろいろな工夫に正解はありません。
どんな工夫にも一歩先が待っています。
そこに夢があり挑戦があると思っています。
ぜひ、１００年前の夢の世界へ、扉を開いてあそびに行きましょう。

掲載内容

1.はじめに
2.凡例
3.人形を動かす
4.遊び道具のカラクリ
5.水を使うおもちゃ
6.風を使うおもちゃ
7.乗り物のおもちゃ
8.掲載特許図面一覧
9.あとがき
10.参考文献