著者からのメッセージ −まえがきから−
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メーカの設計技術者がつくる実践的な回路図集
  
 スイッチング電源の回路図集では、スイッチング電源メーカの第一線で活躍している設計技術者が最近の特許文献から設計のヒントになる回路図を選び、具体的な回路設計や基本回路の検討に役立つ実践的な回路図集にまとめています。
 この並列運転・並列駆動方式編では、この回路図集を実際の回路検討に利用する設計技術者の立場に立って、スイッチング電源の基本回路方式別に並列運転・並列駆動方式を分類してあります。
 本回路図集の企画をたてた当初には、「並列運転」というものは新しい概念のものではないから、とタカをくくっていました。電源メーカにおいては、既に一般的な技術となっているため、特別な新しい技術は発見できないだろうし、メーカ側から見た場合でも、並列運転の目的は比較的はっきりしているため、特別な関心を寄せるようなおもしろい技術などほとんどないはずです。なかばうんざりする気持ちで特許公報の査読作業に入りました。
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古い概念のなかに驚きの予想外!
 しかし、実際に並列運転に関する最近の国内特許情報の内容を見てみると、この先入観は見事に覆されてしまったのです。
 この要因の一つには、提供された特許情報の中には、一見、ノイズ情報ととれるような予想外の「並列」運転に関するものが含まれていました。それがかえって、先入観としてあった並列運転という狭い概念を取り払うための大きな先導力になったのです。これは、意外性に富んだ、特許情報のおもしろい点であります。
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巧みな構成や単純化の工夫
 二つ目には、あえて狭義の並列運転に絞って特許情報を見たとします。しかし、中身の一つ一つは新鮮な発明ではないけれど、特許出願の一件一件では組合わせをするなどの細かい工夫がつまっているものが多くありました。
 三つ目には、特許情報の見方を取り上げてみます。ユーザー側からすれば、並列運転を冗長化や大パワー対応のありふれた文字通りの広義な並列運転としてしか捉えないでしょう。それに反して、メーカー設計者側からすれば、専門技術としての並列運転に関する特許情報からは、巧みな構成のヒントや単純な工夫などを見ることができます。これを鑑みるに、文字通りの狭義の並列運転に絞って特許情報を見るよりも、見方を変えるだけで、幅広く有益な技術ヒントを受けることができるようになるということです。
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悩ましい進化のバラエティ
 こうして分析作業を進めれば進めるほど、並列運転の定義は実は難しいものだということに気が付きます。たとえば、三相電源の各相に独立のコンバータを接続して負荷を共通にするものはどうするのか。あるいは、コンバータの一部を並列構成にするような例を取り上げるべきなのか。または、独立電源の出力をカスケードに積み上げて高電圧出力を得るような場合はどうなるのか・・・、などと考えはじめるとキリがなくなります。
 そこで、この回路図集では、本来の趣旨に則った文字通りの狭義の並列運転を主に取り上げるものの、許される範囲で、狭義の並列運転の定義には収まりきらないような例も2〜3取り上げてみました。
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モノの見方を増やす・考え方を整理する
 読者諸氏にも、並列運転に関する特許情報をふたたび覗いてみることをお勧めします。並列運転に関する特許情報は、本当に興味深いものです。これからの電源技術を考える上で役立つヒントになり、示唆に富んだ内容を豊富に見ることができます。今回の特許情報を抽出する際に用いた検索語
FI=(H02M3/00W+H02M3/155W+H02M3/28M)は、瓢箪から駒の一例だったのかもしれません。
 さいごに、特許情報はいろいろな確度からさまざまなモノの見方をすることができるという点で、大変に役立つ技術情報であるといえます。さらに、多くの特許情報に接していくうちに目が肥えて、おのずと自社の出願水準も高まります。紙面を通じて発明者と対話することにより、考え方を整理できるという効果もあります。改めて特許情報は有益な技術情報であるということを強く認識するよい機会を得ることができたと思います(S)。
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