政府は、税金や補助金を利用して、交通手段に関する行動を奨励または阻止することにより、渋滞や汚染などの交通関連の問題に対処することがあります。記憶に新しいのはGoToキャンペーンです。GoToキャンペーンは、政府が国民にインセンティブ(旅行補助金)を与え、観光業や飲食業を活性化させようとするものでした。しかし、それが裏目に出て、コロナウィルスの第2波・第3波の感染拡大を防ぎきれず、2回目の緊急事態宣言につながりました。この発明は、現在の汚染レベル、混雑、交通データ、人口密度などの要因を監視して、リアルタイムにインセンティブ(旅行補助金など)またはペナルティ(税金など)を動的に計算し、交通機関や政府の目的を達成するためのコントロールを行うシステムの発明です(US20210027391、Cubic)。
このような政策(アメとムチの使い分け)は、様々な領域で行われています。例えば、EUは、気候変動対策や省エネルギー対策を重視し、2020年に発表した新たな成長戦略「欧州グリーンディール」において、「2050年に温室効果ガス排出が実質ゼロとなる『気候中立』を達成する」という目標を掲げ、持続可能な輸送システムの構築という大きな視点から、数々のEV普及策を推進しています。一方で、EUはCO2排出量に関する規制を強化し、所定のCO2排出量を超過すると罰金が徴収されます。
政府は定期的に税金や補助金を調整できる場合がありますが(たとえば、平日のラッシュアワーに税金や補助金を増やすなど)、しかし、交通関連の問題にリアルタイムで対応することはできていません。この発明は、地域または都市当局が、トランジット、ライドシェア、道路使用のためのリアルタイムのデータ駆動型価格設定を通じて、政策結果に影響を与えることを可能にします。
マルチモーダルトリップの場合、輸送業者102は、トリップの各区間を入札に出すことができ、複数の輸送オペレータ104から複数の見積もりを受け取ることができます。
Fig.2に示されるように、輸送業者は旅行を2つの区間に分割し、他の輸送オペレータ(図示せず)の中で、プロバイダAはブロック206で旅の第1の区間の入札を提供し、プロバイダBはブロック208の旅の第2の区間の入札を提供します。
これらの入札の一環として、プロバイダA・Bは、情報をモビリティポリシーエンジンに送信して、ブロック210で税金・補助金情報を計算します。
新型コロナウィルスのパンデミックによって、人々の行動様式が大きく変化しました。持続可能な社会を考えると、テレワークや時差通勤など組織や個人の意識に基づく行動だけでなく、地域の交通システムを管理・維持するための新しいアプローチとして、道路利用者の課金スキームの見直しが必要かもしれません。