バイオメトリックセキュリティ ~詐欺との闘い~


コロナウイルスの影響による行動制限やソーシャルディスタンスの意識の高まり等により、デジタルツールの使用が増加しています。そのため、オンラインチャネルやモバイルチャネルを狙って、悪意のハッカーによるさまざまなID詐欺が増えています。今回取り上げるのは、顔のなりすまし防止のために、顔画像から活性度を判定するユーザ検証システムの発明です(US20200257913、Samsung Electronics)。



バイオメトリックセキュリティ

バイオメトリクスとは、人間の身体的・行動的な特徴を用いて個人を同定する技術であり、個人を特定するための安全で効果的な方法の一つです。
指紋や静脈、顔、虹彩などの身体的な特徴、声紋や署名などの行動的な特徴などがあります。
身近な例では、銀行ATMの静脈認証や、モバイルPCの指紋認証、空港の入管手続きにおける顔認証などがあります。


バイオメトリクスはセキュリティの面でも重要です。バイオメトリクスは個人を認証することに関連して、機密性、正確性、妥当性、可用性などのセキュリティ面が課題になっています。
その一つが、生体か非生体(偽造)かを判別する活性度の検出です。提示されたバイオメトリック特性が実際の人間からのものであるか、なりすましの指紋や写真などの非生体の者であるか、悪意の攻撃と戦うための活性度検出が検討されています。
例えば、Fig.2は、偽の顔210および真の顔220の例です。
偽の顔210は、スマートフォンの画面、パーソナルコンピュータ(PC)の画面に表示されるユーザの顔、写真に表示されるユーザの顔、紙に印刷されたユーザの顔を含みます。


生きているか否かの活性度検出

この発明は、顔画像から活性度を判定するユーザ検証システムの発明です(US20200257913、Samsung Electronics)。カメラからキャプチャされた画像の様々な要因を考慮することによって、対象者の活性度検査を行うことができます。下記のいずれかまたは組み合わせに基づいて、対象者が生きているかどうか、すなわち、対象者の活性度を検出します。


離れた距離に存在する物体から取り込まれた画像は、その物体が電子デバイスの画面であるか紙であるかが手掛かりになります。
例えば、下記の要因を考慮して、活性度テストが実行されます。


また、ユーザの顔を認識するための認識モデルを使用してオブジェクトの活性度を検出することもできます。
例えば、認識モード内の複数の隠れ層から出力された各特徴ベクトルから活性度スコアを判定し、判定された活性度スコアに基づいて、オブジェクトが生きているか否かを判定します。
認識モデルは、多くの顔画像に基づいてトレーニングされ、実際の顔から効果的に特徴を抽出します。これにより、低コストで効果的な活性度検出を行うことができます。






この発明では、入力画像から取得した複数のサブ画像に基づいてプレ活性度スコアを決定し、入力画像に含まれるオブジェクトを認識するための認識モデルに基づいてポスト活性度スコアを決定し、生存前スコアと生存後スコアの組み合わせに基づいて活性度を検出します。
Fig.3は活性度検出の全体のフロー、Fig.5は入力画像からサブ画像の抽出を示す図です。



今月のマンスリー特許情報:人工知能では、バイオメトリックセキュリティに関する、その他の米国特許情報も見ることができます。米国特許から、市場「セキュリティ」を選択してご確認ください。

など

「マンスリー特許情報:人工知能」では、人工知能を用いた様々な用途に関する日米特許情報をピックアップし、毎月お届けしています。お客様のご関心のある市場のみのご利用、カスタマイズも可能です。ご関心のあるお客様はお気軽にお問い合わせください。

マンスリー特許情報:人工知能

特許情報には、最先端のテクノロジーを活用した新しい動きが表れています。ご関心のある方は、ネオテクノロジーまでお問い合わせください。

特許レポート オンラインショップ