情報化社会の進展に伴って、膨大なデータが取り扱われるようになりました。デジタル基盤を支えるのがデータセンターです。社会のデジタル化が進むにつれて、データセンターの重要性が増しています。一方で、データセンターは多くの電力を必要とし、その大半は冷却目的で使用されています。この発明は、海水を利用してデータセンターを効率的に冷却するとともに、冷却システムからの排熱を利用して海水を飲料水に変えようとする、一石二鳥をねらった発明です(US20200172411A1、Oracle International)。
データセンターは世界中で500テラワット以上の電力を消費していると言われています。米エネルギー省は、2016年にデータセンターは全米の電力消費の約2%を占め、このうち約40%が冷却目的で使用されていると報告しています。世界の情報量(IPトラフィック)は2030年には現在の30倍以上、2050年には4,000倍に達すると予想され、技術進歩がなければ、情報関連だけで世界の全てのエネルギーを消費してもまだ不足することが懸念されています。
国連によると、世界の人口の40%は水資源が不足する地域に暮らしており、年間を通して水不足に見舞われている人は5億人に上るといわれています。2025年までに深刻な水不足に直面する地域には35億人以上が住んでいると予測されています。国連のSDGs(持続可能な開発目標)においても、水に関する目標「6.安全な水とトイレを世界中に」があり、飲料水の確保は重要です。
今回取り上げる注目発明は、これらの異なる2つの課題を解決しようとするものです。データセンターの流体冷却システムによって生成された大量の廃熱を使用して、低温脱塩を実行するシステムです。インテリジェント電力監視(IPM)テレメトリを電力認識ジョブスケジューリングと冷却液のインテリジェント制御の両方に統合して、炭素コストを追加せずに、海水を飲料水に変換する新しい低温低圧の脱塩プロセスです。
このシステムは下記3つの要素を統合し、海水を飲料水に変えながらデータセンターを効率的に冷却します。
このように、データセンターが発生する熱を冷却するために海水を利用することで海水が約40〜50℃の温度に加熱され、低温の脱塩プロセスを通じて海水を飲料水に変換します。
バルブを回して、計算パフォーマンスと脱塩効率を調整
計算パフォーマンスを最大にしたい時は、水の流量を上げます。これにより、コンピューターの温度が下がり、計算パフォーマンスを最大化できます。しかし、流量が増えると水は温まりにくくなるため、脱塩効率が低下します。そこで、ユーザーは「バルブを回す」ことでこのトレードオフを調整し、よりきれいな水の出力、または、より高い計算パフォーマンスを最適化できます。
「バルブを回す」ためには、機械学習ベースの制御と、ジョブの優先順位に基づく分配を用います。冷却水入口温度のリアルタイム遠隔測定は、多変量状態推定技術(MSET)に基づく冷却システム流量の機械学習ベースの制御と組み合わせて、データセンターからの冷却水の出口温度を制御します。低温脱塩システム操作はポンプ122とフローバルブ(107,117,118)によって調整・制御されます。
計算パフォーマンスを最大にしたい時は、水の流量を上げます。これにより、コンピューターの温度が下がり、計算パフォーマンスを最大化できます。しかし、流量が増えると水は温まりにくくなるため、脱塩効率が低下します。そこで、ユーザーは「バルブを回す」ことでこのトレードオフを調整し、よりきれいな水の出力、または、より高い計算パフォーマンスを最適化できます。
「バルブを回す」ためには、機械学習ベースの制御と、ジョブの優先順位に基づく分配を用います。冷却水入口温度のリアルタイム遠隔測定は、多変量状態推定技術(MSET)に基づく冷却システム流量の機械学習ベースの制御と組み合わせて、データセンターからの冷却水の出口温度を制御します。低温脱塩システム操作はポンプ122とフローバルブ(107,117,118)によって調整・制御されます
Fig.2はジョブの優先順位に基づく分配を示します。
地球上の97.5%は海洋や塩水です。その一部でも淡水に変えることができれば、世界中の水で困っている人たちの助けになります。
この発明は、私たちが日常的に使うスマホやPCを通じて、そのような貢献につながる可能性を示しています。もしかしたら、データセンター冷却の副産物として、Made in Datacenterの塩を、私たちの食卓で目にする日がくるかもしれません。