複数ユーザーの減量を遠隔サポートする


ダイエットに挑戦して、失敗した経験がある人は多いでしょう。極端な食事制限や節制による間違ったダイエットをすると、かえって脂肪を増やしてしまったり、リバウンドを起こして元に戻ってしまったりすることもあります。この発明は、複数のユーザーを、体重を減らすために遠隔サポートする減量サービスに関する発明です(US20190259300、Miles Bramwell Executive Services)。



肥満の増加は社会問題

近年、日本をはじめとした先進諸国において、肥満の増加が大きな社会問題となりつつあります。肥満度を測るためのBMI(体格指数)25以上が「肥満状態」とされています。日本では、厚生労働省による「平成29年国民健康・栄養調査」※1によると、男性では30.7%、女性では21.9%が「肥満状態」です。世界的には、2016年に発表された世界の186ヵ国を対象とした調査※2によると、世界の肥満人口は6億4,100万人(男性2億6,600万人、女性3億7,500万人)という結果が出ています。

なぜ、肥満が問題なのかというと、肥満は、糖尿病をはじめ、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病に大きな影響を及ぼしているからです。そして、生活習慣病は医療費に密接に関わります。日本においては、生活習慣病は国民医療費の約3割、死亡数割合では約6割を占めています。高齢化社会を迎える日本にとって、生活習慣病による医療費をいかに抑制するか、つまり、以下に肥満を防止するかは重要です。

※1 厚生労働省:「平成29年国民健康・栄養調査」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf
※2 NCD Risk Factor Collaboration, “Trends in adult body-mass index in 200 countries from 1975 to 2014: a pooled analysis of 1698 population-based measurement studies with 19-2 million participants” The Lancet, Vol 387, April 2, 2016.
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)30054-X/fulltext


遠隔によるパーソナルサポート

この発明は、複数の遠隔ユーザーのそれぞれにマンマシンインターフェースを提供し、遠隔ユーザーがライブ入力状態になっている間、他の遠隔ユーザーへのコメントを入力したり、遠隔管理者が入力したコメントを読んだりすることができるように構成されています。遠隔ユーザーは現在の体重を入力し、複数の所定の気分の中から1つを選択します。

ユーザーが入力した体重と複数の所定の気分に基づいて、自動にパーソナライズされたコンテンツが配信されます。コンテンツの配信は、遠隔ユーザーの過去の体重、現在のユーザーのコミットメントに対するパフォーマンス、減量目標に対するユーザーのコミットメントに対する過去のパフォーマンスなどに基づいて分析されます(Fig.3)。

遠隔ユーザーにパーソナライズされた配信コンテンツは、下記のようなものがあります。

ユーザーが減量目標をコミット、グループメンバー同士の支援

減量は自分との闘いです。自分自身がやる気にならないと目標達成は出来ません。この発明では、ユーザー自身に期限までに減量目標を達成することをコミットするように促し、期限前に1つ以上の動作を実行するように働きかけ、期限前に遠隔ユーザーを支援または奨励します(Fig.16A、16B)。

また、同じ減量目標に向けて取り組んでいるユーザー同士のポジティブなフィードバックを取り入れています。遠隔ユーザーが経験者のとき、短期間の体重変化に応じた遠隔ユーザーの気分に応じて、ポジティブなフィードバッをク遠隔ユーザーに提供したり、各遠隔ユーザーがポジティブなフィードバックを他の遠隔ユーザーに提供したりします(Fig.19)。



個人ごとの状態やパフォーマンス、気分の分析によるパーソナライズしたコンテンツの配信は人工知能が得意なところです。しかし、いかに人工知能がスマートに分析した提案であっても、人間が続けられなければ意味がありません。この発明は、実行する人間に目標達成するための期限と目標値をコミットさせたり、同じ目標を持つ仲間同士を結び付けてSNSのようにグループ化したりしています。実行する人間をいかに関わらせるかという点で工夫がされており、参考になります。