エレベータドアの群衆センサ


エレベータシステムや自動ドアシステムとともに使用される、距離深さを自動で較正する自己較正センサの発明です(US20180329032A1、Otis Elevator Co)。



ドアの中央にセンサを取付けられない場合

従来の群衆センサは、典型的には、エレベータドアまたは自動ドアの上部中央位置に取り付けられています。もしも、センサが何らかの理由で(建築的または外観の美的な理由により)中央から外れて取り付けられる場合には、設備の幾何学的パラメータを手動で測定し、対応するシステムに入力する必要があります。



人間の動きを追跡して自己較正する

この発明は、自動で距離深さを較正する自己較正センサシステムの発明です。1つ以上のドア開口部を有する壁またはその近傍に配置された、1つまたは複数のセンサとプロセッサとを含みます。それぞれのセンサは、ドア開口部に近接する人間を追跡します。プロセッサは、人間を追跡した分析結果に基づいて、ドア開口部の1つまたは複数のセンサのそれぞれの位置および向きを決定します。これによって、自動較正センサがエレベータドアまたは自動ドアに対して偏心した位置に設置されている場合、設置する際に手動で位置データを測定して入力する必要が無くなります。

Fig.6はエレベータホールの空間マップを示します。自己較正センサ40は、個人1と個人2の軌跡情報を検知します。個人1はエレベータドアに近づきつつあること検知し、個人2はエレベータドアを横切ろうとしていることを検出します。

Fig.7は複数の人間が検知・追跡されることを示す実際の包括的な空間マップです。センサ40または追加のセンサは、人々が実際にドア開口部22を通過した時を検出し、実際にドアを通過する人々のケースと人々の軌跡とを関連付けるために使用することができます。軌道が終わる時と誰かがドアを通過する時との間のタイミングは、閉める前にドアをどれくらい開いておく必要があるかのドア制御を改善する追加情報として使用することもできます。これは、ドアだけでなく、人が歩くことができる場所がいくつか存在する場合にも、歩く場所に沿って(ドアを使用せずに)通過する人々を区別するのに役立ちます。センサ40は、多数の人間を経時的に検知・追跡することで、システムは包括的な空間マップ701を表す追跡データを生成します。

自己較正センサは、観測された人間の軌跡から自己較正センサに対するドアの位置を自動的に検出し、意図判定論理の幾何学的パラメータを計算することによって動作します。すなわち、エレベータまたは自動ドアに近接する人間の軌道および待ち行列の挙動の統計分析は、それらのドアの位置を示します。具体的には、軌道が失われた場所として定義される軌道の終点の統計的クラスタリング(例えば、予想最大化アルゴリズム)は、人の流れの中のチョークポイント(人の流れをふさぐポイント)を示します。チョークポイントは、隣接する廊下、エレベータドア、または自動ドア付近である可能性があり、速度および待ち行列によって軌跡が発生または消失した他のポイントと統計的に区別することができます(例えば、ガウス混合モデルの速度および適切な閾値を備えた場所)。ドアの位置が分かれば、特定の幾何学的パラメータを計算することができます(例えば、ドア位置を横切る線形ガウスのフィットの±3σ)。さらに、いくつかのセンサはドアから約0.5m〜1.0mよりも近い人間を検出できませんが、本発明では、「重み」推定に対する不確実性を計算するために適用される高度な軌道分析を含みます。複数のドアの場合、推定は、深層学習アルゴリズムなどの学習ベースのアプローチが用いられます。さらに、正確なパラメータ決定に必要な人の流れのデータ量は、エレベータまたは自動ドアの使用方法に依存します。このデータ量は、パラメータ推定値の収束を監視することによって自動的に決定されてもよい。