プライバシー情報を守りつつ、モデル生成する


AIやIoTの進展によって生活が便利になる一方で、極度なデータ管理や監視によるプライバシー侵害や偏見など、テクノロジーが引き起こす負の側面も問題になってきています。この発明は、居住環境の様々な機器がインターネットに接続する際に、居住者を特定する情報が外部に漏洩することを防止する発明です(特開2018−180826、関西電力、ブロードバンドタワー、エーアイスクエア)。



プライバシーの保護

例えば、居住環境におけるAIやIoTの活用は、住宅の居住者が快適で安全な生活を過ごせるように、電気製品や住宅設備の制御を行ったり、アドバイスを行ったりします。その一方で、各種機器がインターネットに接続することになるため、居住者の個人情報がインターネットを介して外部に漏洩し、悪意の第三者に悪用されてしまう危険があります。そこで、この発明は、居住者を特定することが可能な情報がネットワークを介して住宅の外部に漏洩することを防止します。



情報のレベル分け

居住者個人を特定することが可能な居住者特定情報と、それ以外の居住一般情報とを区別します。居住一般情報のみを外部ネットワークに供給し、居住者特定情報は保護されます。居住者情報の区別にあたっては、単独で居住者特定情報となり得る第1情報、単独では居住者特定情報とはなり得ないが複数種類の情報が集合した場合には居住者特定情報となり得る第2情報、単独の情報でも複数種類が集合した情報でも居住者特定情報にはならない第3情報を区別します。



居住モデル情報の生成

このシステムでは、各住宅からゲートウェイ装置を介して居住一般情報を収集し、解析して、モデル情報を生成します。複数の住宅から大量の居住一般情報を収集することが可能になるので、より高精度なモデル情報を生成することが可能になり、各住宅の居住一般情報をモデル情報と比較して分析します。



居住者情報と居住環境情報

居住情報は、居住者に係わる情報と居住環境に係わる情報とに分けられます。



居住モデル情報と居住者情報の分析

図1は居住環境システムのブロック図です。図4は個人を特定する情報と一般情報のレベル分けと、居住者情報と環境情報の区分けとの関係を表したものです。ゲートウェイ部150は居住一般情報のみを外部ネットワークXに供給し、居住者特定情報(第1情報や第2情報)を外部ネットワークXには供給しません。解析装置200の生成部210がモデル生成し、モデル記憶部160に格納します。次に、分析部170が居住情報記憶部140に格納されている居住一般情報に格納されている居住者情報と比較し、分析結果を出力します。モデル生成には、パターン認識アルゴリズムに基づいて解析します。単一アルゴリズムまたは複数アルゴリズムの組み合わせであっても構いません。

例えば、心拍数と呼吸数の情報を用いて“30歳男性の呼吸数および健康状態との関係を示すモデル”を作成して居住者の健康状態を把握したり、居住人数およい外気温の情報と電力使用量を用いて“特定地域の特定時期の電力使用量を示すモデル”を作成して電力使用量の過剰度を分析したりすることができます。



テクノロジーの功罪

AIやIoTの進展により、コンピュータが膨大な量のデータからパターンを学習し、従来は人間にしかできなかった種々の判断をコンピュータが行うことができるようになりました。さらに、人間では認識できないような情報と情報の相関関係を見出し、新しい価値を提供し始めています。しかし、AIやIoTによって生活が便利になる一方で、極度なデータ管理や監視によるプライバシー侵害や偏見など、テクノロジーが引き起こす負の側面も問題になってきています。