POSと連動した棚割ヒートマップ


商品の販売情報が、棚割上でどのように分布しているかをヒートマップで表示する棚割評価システムの発明です(特開2018-151842、ミチノバ)。



棚割診断結果を現場で運用しやすくしたい

コンビニなどのチェーンストアシステムで用いられる販売管理システムでは、本部が各店舗からPOS(Point Of Sales)データを収集し、収集したPOSデータをPOSデータベースに蓄積して、売れ筋商品や死に筋商品を把握して販売管理を行っています。

近年では、POSデータを活用して、店舗の棚割り診断を行う棚割り診断システムも用いられています。例えば、店舗内で棚割画像を撮影し、撮影画像から判断した棚割に対し商品データベースの蓄積データに基づいて診断を行い、診断結果を端末機器に返す棚割支援システムなどがあります。しかし、従来の棚割支援システムでは、診断結果を端末機器に返して各商品と診断結果との関係は示すものの、診断結果が棚割上でどのように分布しているかは示していません。そのため、店員は、診断結果が店舗内の棚割上でどのように分布しているかを把握できず、実際の運用面で使いづらくなっていました。



棚割診断結果をヒートマップ表示

この発明の特徴は、店員が行う通常のPOS登録作業とは別に、携帯端末を用いて撮像した棚割画像を用いることです。店員Fは、携帯端末17の撮影部20(例:内蔵カメラ)を操作して、商品陳列棚11を撮影します。携帯端末では、所定の撮影アプリで撮影部を作動している期間は、撮影時及び非撮影時に関係なく、撮影部のレンズが向けられている撮影範囲の撮影画像がカラー液晶表示器の表示部22に、常時、カラー表示されます(図7)。

図8は棚割画像から割出された各陳列領域の画像部分Gxyを示しています。画像部分Gxyの“x”は、単位棚割14の上から数えて何番目の陳列棚の画像部分であるかを示し、“y”は、店員Fから見て左端から何番目の画像部分であるかを示しています。

図8の棚割画像とPOS情報(販売実績、消化日数)を組み合わせたものが図9です。ここでは、販売数を“高”、“中”及び“低”の3つに段階分けされ、販売数が“高”の段階の棚割評価情報は、右肩下がり及び左肩下がりの両方の斜線でハッチングされ、“中”の段階の棚割評価情報は、右肩下がりのみの斜線でハッチングされ、“低”の段階の棚割評価情報は、ハッチング無しになっています。これによって、店員が棚割評価情報を一瞥すれば、単位棚割14における販売関連情報の各段階が、どのように分布しているかを即座に認識できるようになっています。 図10は、図7の棚割画像上に、図9の棚割評価情報が半透視で重畳されたものです。実際の表示では、のハッチング表示は色分けされた半透視の評価マップの表示となります。例えば、販売数が“高”は赤色、販売数が“中”は黄色、販売数が“低”は青色で表示されます。この色別表示はヒートマップと呼ばれるものです。すなわち、評価の高い段階(この例では、販売段階)の陳列領域ほど、赤に近づいた色(高温色)で表示され、評価の低い段階の陳列領域ほど、青に近づいた色(低温色)で表示されます。これによって、店員Fは、表示部22における図10の表示を一瞥するだけで、各段階の分布状態と分布段階の高低の分布状態との両方を即座に認識することができるようになります。

なお、陳列商品の同定や陳列領域の割出しには、画像解析やパターンマッチングにおいて深層学習を取り入れることができます。



ユーザーインターフェースの重要性

この発明では、AIによって価値付けされた情報を、店員が利用しやすくするために、色別表示によるヒートマップが用いられていました。この例のように、AIが演算処理した情報にいくら価値があったとしても、人間が使いこなせなくては意味がありません。情報をより有効に活用するために、ユーザーインターフェースは重要な役割を持つと思われます。これからの人工知能の実用化においては、ユーザーインターフェース側の工夫も考えて見てはいかがでしょうか。