“顔パス”監視カメラ


犯罪や事故を防ぐために監視カメラの利用が増えています。監視カメラで撮像された人物の顔認識を行うことで、指名手配犯の発見に活用したり、従業員が立ち入り禁止区域に入る際の誤報を防いだりすることができます。この発明は、顔認識と移動軌跡を組合わせることで来客者を認識する、いわゆる“顔パス”のような働きをする監視カメラの発明です(特開2018-093283、マクセル)。



監視カメラの役割

監視カメラは、空港などの不特定多数の人々が行き交う場所で用いられる場合と、コンビニエンスストア等の店舗で用いられる場合とでは、対象となる人々の性質が異なります。例えば、空港等では犯罪者の移動に利用される可能性が高く、指名手配犯の顔認識は有効ですが、コンビニエンスストア等の店舗では、指名手配犯が見つかる頻度はそれほど高くありません。店舗での監視カメラの役割は、事故や万引き等が発生した場合のための記録や、監視していることを示すことによる犯罪の抑止であり、顔認識を有効に行っている訳ではありません。


顔認識と人物の移動軌跡の組合せで、人物を識別する

この発明は、顔認識と人物の移動軌跡を組み合わせることで、特定人物を識別する発明です。監視エリアに設置されるカメラ(1)は、単に監視エリアを撮影するものではなく、人の検知、検知した人の移動軌跡の解析、検知されて移動軌跡を解析される人の顔認識等を行い、これらの監視情報を識別符号としてのIDに関連付けて記録する機能を有します。視差から距離/サイズを算出可能なステレオカメラを用いることによって、被写体の形状を算出し、画像上の特徴点から各種認識を行う際に立体形状から特徴点を求めるのでより正確に人検知を行うことができ、顔認識をより詳細に行うことが可能になります。被写体画像の特徴としては、身長、体形、服装、大人/子ども等を用いることができます。


顔画像のマッチング

顔画像を用いて人物マッチングを行うことが出来ます。複数の顔データを比較した場合、同じ人の顔データは、例えば、特徴点や特徴量が近似する部分が多く、違う人の顔データでは、同じ人の場合のように近似しません。したがって、顔データを比較した場合に近似する特徴点や特徴量の数等の条件など、周知の比較条件により比較した2つの顔データが同じ人のものか違う人のものかを判定することができます。画像認識に関連する機能のライブラリであるOpenCV(Open Computer Vision Library)、および、ディープラーニングによる認識を利用して、人検知、人追跡、顔認識を行うことが可能です。


顔パスと個人情報

この発明は、いわゆる、顔パスのような働きをしています。従来でも、店舗によく来る来客者が、何時ごろ来店し、どのような商品を買うか、ということを従業員が認識して、接客を行っていました。この発明では、この発明では、顔認識によりそれぞれの客を識別できればよく、必ずしも、顔データと氏名、住所等の個人情報を紐付ける必要はありません。例えば、昨日の朝に来店した客と、今朝来店した客が同じ人か違う人かを判定するのに顔認識を用います。(ただし、購入品、購入額、購入日時、現金払いプリペイドカード払い等の会計情報のデータを紐付けする場合もあります)。