複数アイテムの荷物束のラッピング画像から、荷物を識別する


オンラインショッピングが急速に普及し、ユーザーは幅広いアイテムを手に入れることができるようになりました。また、オンラインショッピングが便利になればなるほど、ユーザーは複数のアイテムをまとめて一度に注文することが増えてきました。オンラインショップの配送センターでは、今までは個別に商品管理を行ってきていましたが、複数アイテムを束ごと管理する必要性が高まっています(US2018/0068139A1、Amazon Technologies, Inc.,)。



荷物の個別識別では、間に合わない

例えば、ゴルフに熱中しているユーザーは、ゴルフシューズやゴルフボール、パターをオンラインマーケットで注文し、1つのパッケージで複数アイテムを受け取ります。オンラインショップの配送センターは複数アイテムの注文を受け取ると、次のような流れで荷物を処理します。準備ステーションにて、荷物を保管している倉庫から複数アイテムをピックアップし、テープやリボン、袋や箱などを用いて複数アイテムを束にまとめます。その後、荷物はコンベアなどで分配ステーションに送られます。分配ステーションでは、アイテムに適した量や種類の梱包材を詰めて、顧客向けに配送します。

通常は、アイテムごとに外側表面に識別コード(バーコードやQRコード)を付与して商品管理を行っていました。しかし、複数アイテムによる荷物の束の場合は、ラッピング材が影響して識別コードが隠れてしまう、読み取りづらくなるという現象が生じます。そのため、荷物の識別作業の遅れや確認のために作業を停止することになり、配送までに時間がかかってしまうという問題が生じていました。



荷物を識別するのではなく、“複数アイテムによる荷物の束”の画像を識別する

Fig.1Fは分配ステーションの場面を示します。分配ステーションに送られた“複数アイテムによる荷物の束”(15)は、準備ステーションで撮像された画像(144-2)と照合され、画像マッピングアルゴリズム等によって高精度に正確性が確認されたのち、出荷準備に入ります。これによって、個別アイテムを識別するのではなく、複数アイテムの荷物の束を識別することで、配送作業の効率が良くなります。



ラッピング材の画像を識別する

さらに、この発明の特徴は、複数アイテムを束ねるラッピング材を識別できることです。さまざまな形状のアイテムを束ねるために、ラッピング材には、紙やプラスチック、ゴム、金属フィルムなどの柔軟な素材が用いられることが多く、アイテムによって、シュリンクラップやプチプチシート、ゴムバンド、接着シート、セロファンなどが選択されます。そして、複数アイテムを束ねた後には、ラッピング材は、アイテムの形状を反映したユニークな外見、ラッピング材の伸びや角の曲がり具合など、ラッピング素材ならではの特徴が表れます。さらに、ラッピング材に着色やプリント、エンボス加工など、ラッピング材の表面にわざとイレギュラーな特徴を持たせておくと、複数アイテムを束ねた後にラッピング材の表面に独特な形状が表れるようになります。そのようにすることで、ラッピング材を認識させます(Fig.5A,5B,6A,6B,7A)。Fig.10Bのように、複数アイテムの束の画像とラッピング材画像の組合せによって、荷物を識別します。