画像データを用いて、未孵化卵の受精状態または性別を検出する


画像データを用いて、孵化していない卵の受精または性別を自動的に検出する発明です(US2018/0033139A1、Matrixspec Solutions Inc )。

インキュベートされた卵の約60~90%のみが商業的に取引されます。非孵化卵には、胚がインキュベーション中に死亡した卵と未授精卵が含まれます。全卵の25%を占める未授精卵を早期に検出することが出来れば、食品用途に活用できます。未授精卵の廃棄は、処分上の重要な問題を引き起こし、カビや細菌を他の正常な卵に移すリスクがあります。したがって、未授精卵の同定および単離は、商業的なブロイラーブリーダーにとって、経済的および安全性において重要です。従来は、卵に光を当て卵の生死や未授精卵を検査することが行われていますが、面倒な作業でエラーが起こりやすいです。ある調査によると、インキュベーションの10日後に全卵のわずか5%しかこの検査ができないことが示されており、工業的および大規模処理には向いていません。

卵の性別を識別することは、家禽業界にとって重要です。卵産業では、卵を産む雌鳥が重要です。その反対に、ブロイラー産業では、雄鳥が重要です。いずれの場合も、廃棄処分や動物福祉の観点からしても、性別の識別は重要な課題です。手間がかかり侵襲的な分子およびホルモンアッセイに基づいて、卵の性別を識別する方法が行われていますが、自動化及び生産性が低いため、あまり普及していません。別の方法では、コンピューター画像と分光法を使用して、孵化していない卵の性別や受精率を決定しています。しかし、褐色卵に対する性能の低下、人工受精卵のみで試験されるなど特定のデータに限られています。

これらのことから、未孵化卵の受精および性別を検出する技術が必要とされています。


画像の特定の波長を用いて、未孵化卵を識別する

この発明は、未孵化卵の画像における空間情報およびスペクトル情報の両方を用いて、未孵化卵の受精および性別を検出します。未孵化卵の特定の波長を含む画像を取得し、画像テクスチャの特徴を抽出し、テクスチャの特徴に基づいて未孵化卵を分類します。

Fig.1は全体構成を示します。イメージングシステム50は、卵10の画像をキャプチャします。画像は特定の波長領域を含む空間データ“スペクトル画像”を含んでいます。1組のスペクトル画像は、2つの軸に沿って空間情報が提供され、第3の軸に沿って(各ピクセル位置に対して)スペクトル情報を有する3次元データを形成します。一つの実施形態では、イメージングシステム50は、約900~700nmの範囲内の167波長帯域の光を用いて捕捉された画像に対応する卵10の167枚の画像の組を捕捉します。各波長帯域のサイズは、約4nmです。