製造プロセスの操業データから製品品質を予測する


一般に、製造業における製造プロセスにおいては、一連の工程で製造する材質毎に材質記号が割り当てられていることがあります。この発明は、製造プロセスの操業データから製品の品質を予測するシステムの発明です(特開2017-142601、新日鐵住金)。

層別に統計モデルを当てはめて品質予測を行う

一般に、製造業における製造プロセスにおいては、一連の工程で製造する材質毎に材質記号が割り当てられていることがあります。例えば、鉄鋼の製造プロセスにおいては、一連の工程で製造する材質毎に材質記号が割り当てられています。具体的には、製鋼工程における出鋼中処理、製品合金成分レベル、製品炭素成分レベル、その他の成分レベル等を、アルファベットや数値を組合せて設定される所定の意味を有する情報であり、例えば、「AB10***」等のように表されます。


製造プロセスの品質データを目的変数とし、操業データを説明変数として、線形多重回帰式等の統計モデルを用いて製品の品質を推定する場合、一般に広い範囲の操業条件に対して単独のモデル式を当てはめると、モデル推定値と製造プロセスにおける実績値との間の誤差が大きくなります。そのため、データを層別して各々の層について統計モデルを当てはめることで誤差を小さくすることが行われています。

従来用いられているローカルサーチ法では、ランダムに選ばれた分割領域間で、各領域においてランダムにコードの要素を選び、入れ替える処理を行っているので、層別の個数を増加させると、ランダムに選択するコードの組合せ個数が指数的に増加します。そのため、最終的な層別の個数を増やすと、最適な組み合わせに到達するまでに多大な探索回数が必要になります。さらに、材質記号には、通常、操業の特徴の意味が決められていることがありますが、従来はその意味を利用できていませんでした。


操業データに付与された記号情報の意味を活用した、高精度な品質予測

本発明は、所定の意味が付与され、所定の規則に従って順序付けされている複数の部分コード情報からなる文字コード情報を用いて、データ層別を行います。部分コード情報が取り得る値の並び順を定義域に分割する区切り位置の最適性を評価することで、最適化された区切り位置に基づいてデータ層別を行います