省エネのためのグラデーション照明制御


ビルの省エネのためのエネルギーマネジメントBEMS(Building Energy Management System)が取り組まれています。オフィス空間の作業者の作業効率を損なうことなく、快適性を保ちながら、様々なセンサのセンシング結果を利用して照明制御を行う発明です(特開2017-123274、東芝)。



快適性と省エネの両立を実現する

室内に設置されたセンサにより空間状態を把握し、空調機器や照明機器等の設備を空間状態に応じて制御する手法が提案されています。このような制御方法では、人物の在または不在、人数、活動量、空間の明るさや温度などの空間状態を示す多様な情報が必要であるとともに、精度の良い分析が必要です。しかし、従来は、各装置間の通信に要する時間や、計算に要する時間などが十分に考慮されておらず、必ずしも快適性や省エネとを両立できていない可能性がありました。


個別機器を制御するローカル制御と、周辺エリアの機器を制御するグラデーション制御

この発明は、空間情報に基づいて、空間情報の狭いエリアの照明機器を制御するローカル制御(下位制御)と、周辺エリアの広いエリアの照明機器を制御するグラデーション制御(上位制御)を行うことで、よりきめ細やかな制御と共に快適性と省エネを両立させます。


図7(A)は制御対象空間(200)における人の分布の例です。空間(200)は24個の部分空間(201)からなり、各部分空間(201)にはそれぞれ1つの照明機器(1)が設置されています。また、部分空間(201)には画像センサとマルチセンサが設置され、部分空間毎に空間情報が取得されます。図7(A)では、部分空間(201-1)と部分空間(202-2)に人が存在していることを示しています。図7(B)は人の分布に応じて決定されたグラデーション制御の例です。在エリアについては照明機器1の調光率を75%に設定し、周辺エリアについては、在エリアから遠ざかるごとに25%づつ低下させた調光率を設定しています。その結果、部分空間(201-3)と部分空間(201-4)の照明機器は調光率が0%に設定され、消灯されます。


図8は外光の入射している状況において、明るさを検知してグラデーション制御をした例です。明るさ分布に応じた照明制御を行うことによって、窓側に近い部分空間(301)では外光と照明機器の光を考慮した照明制御を行い、作業者の快適性を損ねません。