製造現場におけるAI活用例、人間の判断を機械に置き換える


製造業において、生産性を高めるためにAIを活用したいというニーズが高まっています。深刻な人手不足を解消するためにも、AI活用による生産性向上が欠かせません。その一つに、熟練作業員のスキルを学習して未熟者でも扱えるようにする工夫があります。

FAやロボット製造のファナックによる、製造現場のAI活用に関する一連の特許情報があります。今回取り上げるのは、電気的ノイズの発生原因の特定を、サービス員ではなく機械にやらせようというものです(特開2017-117180、ファナック)。



サービス員がノイズの発生原因を判断

工作機械やロボットの誤動作の原因として、電気的ノイズの発生があります。ノイズによる誤動作を防止するためには、適切にノイズの原因を特定することが必要になります。従来は、ノイズ発生状況に関係する情報を自動的に収集することは行われていましたが、ノイズの発生原因を自動で特定することは行われておらず、サービス員が収集した情報に基づいて調査をしていました。


しかし、サービス員が測定器材を持参して機械の設置場所に赴く必要があり、高額のサービス費用が発生してしまいます。さらに、誤動作を伴うノイズ障害は、間欠的に発生することが多く、その観測には長時間を要することが多くなり負担が大きくなります。

制御装置自体が、ノイズの発生原因を自動特定

この発明は、制御装置自体が、状態変数(制御装置の入出力信号・内部信号の状態および状態変化に関する情報、制御対象物の動作状態に関する情報、制御装置の環境条件に関する情報のうちのどれか)と、センサで検出された電気的ノイズデータを用いて、電気的ノイズの発生原因を学習します。


これにより、ノイズの発生原因を自動特定でき、サービス員以外の機械の使用者がノイズの発生原因に対する対策を行うことが可能になり、またサービス員が対策を行う場合にも直ちに対策を行うことが可能になるので、サービス費用を低減することができます。


このほかにも、装置の状態に応じて清掃を行う工夫や、画像データを用いた外観検査、電気機械の疲労亀裂や部分放電事象の検出など、製造現場におけるAI活用の様々な工夫が特許情報に表れています。